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実感の無さ [腕神経そう麻痺]

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今の現実を認識し始めたのは、事故から数日が経ってからです。

検査と手術の連続で、考える余裕も無かったまま時が過ぎ、
折れた左腕にプレートで接合する手術も終わり、
ギブスで固められた腕の痛みと違和感が、「これは現実だ」と思い出させます。

何があったのか記憶は無いけれど、
折れた左手に、動かない右手。
身体の痛みとベットに寝かされた自分。

これだけ揃えば、嫌でも自分が重症なのが分かります。
でも実感が全然わきません。

担当の先生から現時点での治療と検査の説明を受けました。
神経の切断が疑われるが現在は原因不明。
最悪の場合は、右腕機能の全廃もありえる。
両親も呼ばれて、隣で泣かれました。
それでも、まだ重症という実感が全然ありません。


骨折なら過去に何度かやりましたし、
手術後もかなり痛みました。
痛みは自分に現実を突きつけてきます。

でも痛みも無い、何も感じない右腕には現実感がありません。
自分のコントロール外の存在で、
自分の身体の一部だとは思えませんでした。


今になって振り返ると、『未知の存在になった右腕の存在を、考えるのを放棄した』のだと思います。


もっとも、食事や洗面などの日常生活の全てを、
ギブスで固定されたままの左腕でこなす方が、現実問題として大変でしたから、
本当に「身も心も考える余裕が無かっただけ」かもしれませんけど。

バタバタしている間に退院となり、
ギブスも外れて自由に動き回れるようになったので、
今度は右腕の検査と治療の為に転院です。

結局、退院するまで自分が重症患者という実感は、ついに得る事が出来ませんでした。
退院した翌週には「左手ギブス、右腕を三角巾で吊ったままぼ姿」で登校して、
ゼミの友人たちに、見た目の凄さで『ドン引き』されたぐらいなので、
世間の基準と、自分の認識がそうとうズレていたのでしょう。


日々の暮らしの事だけで精一杯のこの頃は、
ここから先が波乱の連続になるとは、思いもしませんでした。
 
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